2024.8.24
本日、早尾貴紀東京経済大学客員教員による「ガザ地区を包囲攻撃するイスラエルの意図」講演会に参加してきました。
2023年10月7日に起きた、「イスラム抵抗運動・ハマス」によるイスラエルへの攻撃。
その後、イスラエルはパレスチナ自治区ガザとヨルダン川西岸地区に総攻撃を始めました。
ガザ地区とは、イスラエルとエジプトとの国境沿いにある長さ40キロ、幅6〜12キロ、面積365平方キロ。
その小さなエリアに約220万人が暮らし、世界で最も人口密度が高い地域の一つとされています。
そこに、イスラエルによる「天井のない監獄」と言われる封鎖「生産と物流とが阻害され経済が成長不可能であり、医療や衛生や教育も破壊され人間としての生存も危機に瀕しており、もはや通常の意味での社会が存続不可能になってしまった」(早尾貴紀、2020年「パレスチナ/イスラエル論」)
この世の地獄とは、この事を言うのでしょう。
第一次世界大戦の中での英国・バルフォア宣言「ユダヤ人の郷土」建設支持、その後の英国委任統治領。時代、そして周辺各国の思惑に、パレスチナの民衆は翻弄されていく。
早尾貴紀さんは「シオニズムとは、植民地主義+人種主義+国民主義」と言います。
ヨーロッパの文明をアジア・アフリカの野蛮から守る、という思想がいまだ続いており、2023年10月の攻撃以降、イスラエルのネタニヤフ首相は「ガザ攻撃は西洋文化を守る戦争」と真剣に口にします。
1947年の国連パレスチナ分割案の以前、1930年代から、初代首相のベングリオンは「8割の土地を得て、人口の8割をユダヤ人に」「ユダヤ人入植者とアラブ人の追放を」と話していたと言います。
1948年のイスラエル建国前後、暴力的に追放した先住民(パレスチナ人)に対し、国連はパレスチナ人がイスラエル領へ帰還する権利を求めているが、難民の帰還権の主張は、イスラエルの国家の正当性を脅かすものだ、主張し、「UNRWA(アンルワ)国連パレスチナ難民救済事業機関があるから難民問題が残存する。UNRWAが解体すれば難民問題も消える」という主張をし、この後、2018年の米国トランプ政権では、UNRWA国連パレスチナ難民救済事業機関への出資を止めました。
1993年にオスロ和平合意が行われました。
それは、1987年にイスラエル占領に抵抗するインティファーダ(民衆蜂起)がガザ、ヨルダン川西岸地区で起きました。
それを受け、表向きは和平合意と言いましたが、内実はイスラエルの占領の外観を隠すために、自治の名目を立て、PLO(パレスチナ解放機構)はイスラエル国家を和平のパートナーとして承認するとし、それで骨抜きし「抵抗の終焉」、「占領ではない」という体裁で、占領のコスト、責任を免れ、名ばかりの自治として入植、国境管理、水利権、難民帰還権などは進展せず、オスロ和平合意後も入植、土地収奪は加速し、まるでオスロ体制での「自治」は占領行政の下請けとなったという事です。
まるで日本のようだ、と思いました。
サンフランシスコ平和条約で見せかけの独立を与えられたが、その後の軍事条約の日米安保、そして日米地位協定や日米合同委員会での占領続行、そして年次改革要望書での経済への内政干渉。
もちろんパレスチナへのイスラエルのやり方は日本とアメリカとの関係とは比べ物にならないほどに酷いですが、見せかけの平和、自治のやり方が今の日本にそっくりだと感じました。
その後の有名な2006年パレスチナ議会選挙でのハマスの勝利、それはパレスチナ民衆はイスラエルの傀儡であるPLOよりも、オスロ和平体制を批判するハマスを民衆が支持したのでした。
その後、イスラエルと米国は選挙に負けたイスラエルの傀儡であるPLOに武器、弾薬を提供し、ハマスとの内戦を扇動、そして「分断して統治せよ」と言われるように、イスラエルはハマスにも資金援助をしていたことは、イスラエルの報道機関からも報道されています。
2010年頃からパレスチナの集団飢餓は始まり、イスラエルによる「武器としての集団飢餓」物流や食料、生産や物流が完全に阻害され、経済が成長不可能、この状態は意図的にやられ、パレスチナ人の1日のカロリー、「これだけ食べれば人間はギリギリ生きていける」という状態を生み出し、その状態はイスラエルは人体実験をしている、インフラを破壊し、10/7以降、軍事的に殺された4万人、そして医療危機として亡くなった方は10万人以上とも言われています。
なぜここまで人間は非情になれるのか。
それはシオニズム思想の「植民地主義+人種主義+国民主義」という恐ろしい思想を叶えるために、人間はここまで非情になれる。
なお、現在イスラエル国内ではパレスチナ占領に反対する正統派ユダヤ教徒がイスラエル警察により弾圧を受けています。
ユダヤを批判するのではなく、シオニズムを批判する。
自分はこれからもこれを徹底していきます。
そして、最後に早尾さんはこう仰っていました。
「私たち日本人に何ができるか。オスロ和平合意の枠組みに戻る、といった言説や経済援助が大事、といった認識は捨て、あくまでも『パレスチナの自治権を認める』といった主張が最も大事であり、占領や入植を終わらせる。日本や米国やヨーロッパ以外の国々は既にこのような流れであり、いつまでも米国やヨーロッパの流れに乗るではなく、そこにシフトすべき」と。
オスロ和平合意はあくまでも「パレスチナ人」の人々が反対しているのであり、その象徴がハマス。
勉強になりました。
自分は3回ほど、イスラエル大使館に対して抗議運動を行いました。
もう一つ、私たち日本人が出来ることは、このように抗議活動を直接行う事です。
イスラエル大使館、虐殺が続いているのならばまた必ず行きます。
(報告: かい正康)
自治市民21
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