有機フッ素化合物による健康被害対策の充実を求める意見書

いのちが大事提出 賛成少数

 

採決結果 反対討論なし・否決残念

 

有機フッ素化合物による健康被害対策の充実を求める意見書(案)

 

 厚生労働省は、2020年4月、有機フッ素化合物であるPFOS(パーフルオクタンスルホン酸)とPFOA(パーフルオロオクタン酸)の合計で、水1リットル当たり50ナノグラムという基準を設定した。有機フッ素化合物は、環境中で分解されにくく、生体内にも蓄積されやすい性質から、海外では「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」と呼ばれている。PFOSは、防水スプレーの原料や、空港や軍事基地などの火災に使われる泡消火剤の原料などに使われてきた。

 これらの有機フッ素化合物は、フッ素樹脂製品などの製造時や使用時などに、労働者や消費者が直接暴露するだけでなく、工場や製品の廃棄時にも環境中に排出されて、土壌や河川、地下水を汚染していることが判明している。

 有機フッ素化合物の人体・健康への影響について、欧州環境機関(EEA)によれば、妊娠性高血圧症及び妊娠高血圧腎症、精巣がん、腎細胞がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、高コレステロール血症などが指摘されている。また、子どもへの影響として免疫力低下による感染症抵抗力の低下などが指摘されている。

 有機フッ素化合物による環境汚染問題は世界的な課題となり、PFOSは2009年、PFOAは2019年、国際条約で原則製造・使用禁止となった。しかし、地球上に放出された大量のPFOS、PFOAの除去のめどは立っていない。沖縄の米軍基地周辺の水道水汚染、米軍横田基地周辺の複数の水道水用井戸から高濃度のPFOSが検出されている。

 2020年8月30日、NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議は、高濃度汚染が続いた府中市の府中武蔵台浄水所、国分寺市の東恋ヶ窪浄水所の給水地域の住民と協力し、水質及び血液検査を実施した。その結果、水質は環境省調査の平均値に比較して、PFOSは1.5倍から2倍、PFOAは顕著な差がなかったが、PFOS、PFOAの代替物質であり、有機フッ素化合物で環境汚染の恐れがあるPFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)は、27倍から29倍と高い値を示したと報告している。血液検査では、PFOSで22人中5人、PFOAで22人中1人が、ドイツの定める健康影響の可能性があるという基準値を超えていた。

 よって、本市議会は、政府及び東京都に対し、下記のことを求める。

 

        記

 

1 多摩地域の住民に対するPFOS、PFOAを含む有機フッ素化合物の血中濃度検査及び健康調査を速やかに実施すること。

2 有機フッ素化合物による血液検査を希望する全ての人に対して、無料で血液検査を受けられるようにすること。

3 汚染された地下水の飲用中止を徹底すること。

4 汚染原因の調査と汚染の浄化に取り組むこと。

5 PFHxSについては、健康被害の安全性が確認されるまでの間、使用を中止すること。

 

上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 

2021329

 

PFHxS=パーフルオロヘキサンスルホン酸 PFOS、PFOAの代替物質(有機フッ素化合物))

 

賛成11(民主緑風会 日本共産党 いのちが大事)

反対15(令和山桜会 自由民主クラブ 公明党 山田さとみ議員 成田ちひろ議員)

 

退席1(半田伸明議員)