農林水産省は、2021年5月、持続可能な食料システムの構築を目指して、農業等の生産力向上と持続性の両立を技術革新によって実現しようという「みどりの食料システム戦略」を策定しました。そこには2050年までに農林水産業のCO2ゼロ排出の実現や、化学農薬・肥料の削減、有機農業の面積拡大などの方向を打ち出し、具体的な数値目標も掲げています。
※ 面積拡大については、
有機農業面積2万6,000ヘクタール(耕地面積の0.6%)→ 100万ヘクタール(耕地面積の約25%)まで拡大することを掲げている。
オーガニック(有機)野菜とは、化学的に合成された肥料や農薬を使わず、自然の肥料を使って栽培された野菜を指します。この自然の肥料とは、わらや落ち葉を堆積し発酵させた肥料、堆肥のことです。ほかにも、生ごみや家畜のふんから作った堆肥などもあります。
オーガニックの定義とは、1、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと。2、遺伝子組換え技術を利用しないこと。3、種まき、または植付け前の2年以上を有機肥料で土づくりを行った田畑で栽培されたもの
●「全国オーガニック給食フォーラム」での報告
2022年10月26日には東京都中野区で「全国オーガニック給食フォーラム」(実行委員長 太田洋千葉県いすみ市長)が開催され、本会場、サテライト会場、オンライン配信でおよそ4,000人が参加しました。学校給食の有機化などに関する法律を制定したフランス、給食の外部委託が引き起こした問題から法律を改正した韓国、日本国内の自治体からの報告が行われ、農林水産省、文部科学省からは国の方針・政策が説明されました。
2018年にフランスで制定された通称「エガリム法」は、2022年から学校給食を含む公共食堂で使われる食材の50%(うち20%をオーガニック)を持続可能で品質が優れている食材にすること、農家に対する妥当な購入価格などを義務付けているとのことです。
韓国ではかつて給食の外部委託が進み、企業は利益を追求し様々な問題が起きていたところ、2006年に給食を委託されていた大手食品企業が食中毒を起こし4,000人以上の生徒たちに被害が出、この出来事で学校給食法が全面改正され、学校給食は委託でなく直営が基本となり「優秀な農産物」の使用が義務となったとのことでした。(韓国の給食は無償)
また、ソウル市では、オーガニックや化学肥料の使用を減らした農産物などを含む食材(親環境農産物)を使った給食を市内のほぼすべての小中高校で実現させており、慶煕(キョンヒ)大学の姜(カン)教授の試算によると、農業の有機化による生産誘発効果は約3兆3,000億ウォン、付加価値誘発効果がおよそ1兆4,000億ウォン、農家収入は13.3%増加したとのことでした。
日本国内では、千葉県いすみ市で2017年に有機米100%の学校給食が実現しています。太田洋いすみ市長は「市民も議会も反対せず、今では市民の大きな誇りになっている」と述べました。
千葉県木更津市や愛媛県今治市は、条例を制定して、食の安全や環境に優しい農業、オーガニック給食を推進、今治市では自校調理方式を採用し地元の有機農産物を優先的に使用しています。東京都武蔵野市は1970年代から手作りで安全な給食に取り組んでいます。
●三鷹市におけるオーガニック野菜、有機農産物の活用について
2022年12月1日三鷹市議会第4回定例会 市政に関する嶋﨑英治の一般質問及び行政側の答弁のページ「2022.12.1 オーガニック野菜、有機農産物の活用について」(←をクリックしてください)をご覧ください。
質問項目は下記の通りです。
(1)、オーガニック野菜、有機農産物の活用について
ア、本市の有機農産物生産の現状と課題について。
質問1、市内における有機農産物生産の現状と課題について、市長の見解をお聞かせください。
質問2、本市の学校給食における有機農産物取り入れの現状と課題について、教育長の見解をお聞かせください。
イ、本市の有機農産物生産について。
質問3、市内における有機農産物生産の推進に当たり、何が課題でしょうか。市長の見解をお聞きします。
質問4、TPPにより、このままでは日本の農業は壊滅的になることを懸念します。超大規模な農業か、有機などの付加価値をつけた農業しか生き残ることができず、食料国内自給率も低下の一途だと思います。この現状に対する市長の所見をお聞かせください。
(2)、有機農産物の生産に係る姉妹・友好都市との連携と「三鷹ブランド」創成について
三鷹市の限られた農地で、オーガニック給食食材の調達は困難だと思います。全国の水田の2%を有機栽培にすれば、全国の小・中学校の米飯給食の100%有機米給食が可能との試算もあります。
ア、姉妹・友好都市との連携・協力について。
質問5、三鷹市で給食の米を生産するのは困難です。姉妹都市の矢吹町、友好都市の新庄市や戸沢村にお米の生産を依頼し、三鷹ブランドをつくり、学校給食に用いたり、市内で販売したりすることはできないでしょうか。市長の見解をお聞きします。
(3)、オーガニック食材の生産及び学校給食への活用について。
農林水産省農産局農業環境対策課の2020年度における有機農業の推進状況調査によれば、学校給食で有機食品を使用している自治体は120市区町村に上っています。東京都では武蔵野市と江東区です。実現に向けて活動中の市町村は47自治体です。
ア、オーガニック食材を用いることについて。
質問6、オーガニックの食材を食べることは、自然環境を守ることや地球温暖化防止につながるとともに、子どもたちの健やかな身体を育むことになります。学校給食にオーガニック食材を活用することについて、教育長の見解をお聞きします。
イ、子どもが自ら考え、豊かに自立するために。
地産地消の学校給食を実施するために、生産者、野菜納品業者、調理員、栄養士、教職員等の地域の幅広い関係者・関係団体との調整が不可欠です。その調整を行うコーディネーターとして、栄養教諭、あるいは栄養士の役割が重要です。子どもが豊かに成長していくために、地産地消の給食が基本です。低農薬、無農薬、有機農産物を取り入れることで、地域もよりよく変わっていきます。
質問7、三鷹の学校給食食材で市内産野菜の使用率は何%でしょうか。そのうち、有機農産物はどのくらいの割合を占めているでしょうか、教育長にお尋ねします。
質問8、顔の見える農と食文化の醸成には、生産現場の見学や農業生産者の話を聞いたり、交流する事業は不可欠です。このような取組は行われているのでしょうか、教育長にお尋ねします。
質問9、学校給食を持続させるためには、栄養士が果たす役割は大きく重要です。市の正規職員として採用し続けることを求めます。市長の考えをお聞きします。
子どもたちが健やかに学び育っていくために、学校給食費の無償化は必須です。全国1,740自治体のうち、私の調査時点では、76自治体が小・中学校給食を無償化しています。
質問10、小・中学校給食費無償化が難しければ、中学校給食費を無償にすることを検討していただきたい。市長の見解をお聞きします。
ウ、持続可能な地産地消農業を維持するためにできること。
質問11、木更津市や今治市は、条例を制定して、食の安全や環境に優しい農業、オーガニック給食を推進しています。本市においても条例制定を検討すべきだと思います。市長の見解をお聞きします。
有機農業の推進に関する法律(平成 18 年法律第 112 号)
(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/d-1.pdf
日本有機農業学会
自治市民21
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