<報告>
新社会党千葉県本部委員長 宮川敏一
◆種子法廃止違憲訴訟の第3回東京高裁公判(増田稔裁判長)が6月14日11:30にあった。
開廷前の高裁前には「種子法廃止は憲法違反」の横断幕を掲げ、傍聴希望者が並び山田正彦さん(元農水大臣)の「日本の食糧を守るためにも種子法廃止を食い止めたい頑張りましょう」の挨拶があった。
田井代理人からは、本日の概要の報告があり、「結審もありえ厳しく臨む」報告があった。
裁判は、代理人2人が尋問を述べた。
次回も3人の尋問を申請したが却下、山田さん(元農水大臣)について意見陳述が認められた。
次回公判は10月1日15時101法廷。
【種子法裁判の概要】
◆穀物の種子を農家に安価に提供する目的で制定された主要農作物種子法(種子法)が廃止されたのは食料への権利を保障する憲法25条に違反するとして、全国の農家や消費者ら約1500人が国に廃止法の無効確認などを求めたもの。
2023年3月24日東京地裁(品田幸男裁判長)は、種子法の廃止は「合憲」と判断し、原告側の請求をいずれも退けた。
◆種子法は1952年、戦後の食糧増産を目的に制定された。コメや小麦、大豆といった主要農作物について地域に合った品種改良や奨励品種の指定を行うことなどを各都道府県に義務付けたが、国は2018年4月、規制改革の一環で「民間の品種開発意欲を阻害している」などとして廃止した。
◆判決理由で品田裁判長は「種子法は国民に対し、食糧増産などにかかる権利を具体化したものではない」と指摘。廃止によって権利が侵害されたということはできないとし、憲法違反には当たらないと結論付けた。
◆ 原告は、2023年4月6日、東京高等裁判所に控訴した。
◆控訴審では、種子法に基づいて権利が具体化されていることを主張していく。東京地裁判決は、種子法は「食料増産」という政策的な目的で制定されたものであり、国民にとっては事実上の利益にすぎない(いわゆる「反射的利益論」)と認定し、権利性を否定した。
◆ しかし、この種子法に基づき、都道府県で主要農作物の種生産が続いてきたこと、私たち国民に良好で安全な農作物が提供され続けてきたことは明らか。これこそ、国民の食料への権利そのものと言えます。決して反射的利益にすぎないというものではない。
原告・弁護団は、司法の役割を放棄した不当判決に断固抗議するとともに、控訴審において、食料への権利が憲法上の権利であると決意した。
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