三鷹市議会レポ 第4定例会(12月議会)第2日 2022/12/01 本会議

市政に関する一般質問

昨日に続き、8番目~15番目

11 嶋﨑英治の一般質問

(1) オーガニック野菜、有機農産物の活用について

 本市の有機農産物生産の現状と課題について

 本市の有機農産物生産について

(2) 有機農産物の生産に係る姉妹・友好都市との連携と「三鷹ブ

 ランド」創成について

 姉妹・友好都市との連携・協力について

(3) オーガニック食材の生産及び学校給食への活用について

 オーガニックの食材を用いることについて

 子どもが自ら考え、豊かに自立するために

 持続可能な地産地消農業を維持するためにできること

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1「顔の見える農と食文化」で子どもたちのいのちと未来を守る(未来世代の持続可能性に富んだオーガニック食材でいのち輝く三鷹を)

 

  農林水産省は20215月、持続可能な食料システムの構築を目指して農業等の生産力向上と持続性の両立を技術革新によって実現しようという「みどりの食料システム戦略」を策定しました。そこには、2050年までに農林水産業のCO2ゼロ排出の実現や、化学農薬・肥料の削減、有機農業の面積拡大などの方向を打ち出し、具体的な数値目標も掲げています。

  また、去る1026日、東京・中野区で開かれた「有機で元気!全国オーガニック給食フォーラム」には、会場は満席(1200人)、オンライン配信による参加者2800人を加えると4000人が参加したとのことです。

  オーガニック給食は、顔の見える食文化を育み、安全な食料生産により、子どもたちのいのちと未来を守る大きな政策、大きな力になると思い、質問と提案をいたします。

 

 オーガニック野菜について

 「オーガニック野菜」とは、化学的に合成された肥料や農薬を使わず、自然の肥料を使って栽培された野菜を指します。この自然の肥料とは、藁(わら)や落ち葉を堆積し、発酵させた肥料「堆肥(たいひ)」のことです。他にも、生ごみや家畜の糞から作った堆肥などもあります。オーガニックの定義とは、①化学的に合成された肥料および農薬を使用しないこと ②遺伝子組み換え技術を利用しないこと ③種まき、または植え付け前の2年以上を有機肥料での土づくりを行った田畑で栽培されたもの と認識しています。

 「有機」ということが日本で言われ始めたのは、1970年代初めに有吉佐和子さんの「複合汚染」が朝日新聞に連載されたことが起源とのことです。「複合汚染」により日本中の人が農薬や合成洗剤、合成保存料の危険性を気づかされました。母乳からBHCが検出されたことにより、化学肥料と農毒薬の多用が人体に悪影響を及ぼし、自然環境を破壊して行きました。

 「有機で元気!全国オーガニック給食フォーラム」の資料で中村陽子さんは「あれから五〇年、有機農業の頑張りは、効率優先、利潤追求の流れに押し戻されてきました。食と農と環境の悪化は着々と進み、今や私たち日本人のほぼ全員の尿からネオニコチノイド系の殺虫剤が検出されます。母乳にも出ているという研究発表もあります。日本は終わったかと思ったころに、ふたたび、有機の熱い風が吹き始めました。」と述べています。

 

(1)オーガニック野菜、有機農産物の活用について

 長い間私たちは、効率やコスト追求する社会に生きています。それは子どもたちにとっても例外ではなく、学校給食や農業分野も同じで、そうした壁に取り囲まれてきました。

 しかし、遺伝子組み換え食品や種苗をめぐる世界的状況で考える時、未来世代のいのちに対する責務を果たそうと思った人が中心になり、国も自治体も市民社会も協働し、一体となってその「壁」を取り除く時機が来ているのではないでしょうか。

 未来を担っていく子どもたちには、なるべく安全で体に良いものを食べさせたいという思いは、私たち全ての大人に共通する願いです。

 有機農産物を生産する農家も安心・安全な農産物が子どもたちのいのち・健康に役立つことは至上の喜びだと思うのです。

 そして農産物をつくる人と食べる人・子どもたちの相互の顏がわかる関係はすばらしいと思います。

 

ア 本市の有機農産物生産の現状と課題について

 

Q1 市内における有機農産物生産の現状と課題について市長の見解をお聞かせください。

 

Q2 本市の学校給食における有機農産物取入れの現状と課題について教育長の見解をお聞かせください。

 

イ 本市の有機農産物生産について

 

Q3 市内における有機農産物生産の推進に当たり、何が課題でしょうか、市長の見解をお聞きします。

 

Q4 TPPにより、このままでは日本の農業は壊滅的になることを懸念します。超大規模な農業か、有機などの付加価値を付けた農業しか生き残ることができず、食料国内自給率も低下の一途だと思います。この現状に対する市長の所見をお聞かせください。

 

(2)有機農産物の生産に係る姉妹・友好都市との連携と「三鷹ブランド」創成について

 三鷹市の限られた農地で、オーガニック給食食材の調達は困難だと思います。全国の水田の2%を有機栽培にすれば、全国の小中学校の米飯給食の100%有機米給食が可能との試算もあります。

 

ア 姉妹・友好都市との連携・協力について

 

Q5 三鷹市で給食の米を生産するのは困難です。姉妹都市の矢吹町、友好都市の新庄市や戸沢村にお米の生産を依頼し、「三鷹ブランド米」を作り、学校給食に用いたり、市内で販売したりすることはできないでしょうか、市長の見解をお聞きします。

 

(3)オーガニック食材の生産及び学校給食の推進について

 農林水産省農産局農業環境対策課の2020年度における「有機農業の推進状況調査」によれば学校給食で有機食品を使用している自治体は123市区町村にのぼっています。東京都では武蔵野市と江東区です。実現に向けて活動中の市町村は47自治体です。

 

ア オーガニックの食材を用いることについて

 

Q6 オーガニックの食材を食べることは、自然環境を守ることや地球温暖化防止につながるとともに、子どもたちの健やかな身体を育むことになります。学校給食にオーガニック食材を活用することについて教育長の見解をお聞きします。

 

イ 子どもが自ら考え、豊かに自立するために

 地産地消の学校給食を実施するためには、生産者、野菜納品業者、調理員、栄養士、教職員等の地域の幅広い関係者・関係団体との調整が不可欠です。その調整を行うコーディネーターとして栄養教諭あるいは栄養士の役割が重要です。

 子どもが豊かに成長していくためには、地産地消の給食が基本です。低農薬、無農薬、有機農産物を取り入れることで地域もよりよく変わって行きます。

 

Q7 三鷹の学校給食食材で市内産野菜の使用率は何パーセントでしょうか、そのうち、有機農産物はどのくらいの割合を占めているでしょうか、教育長にお尋ねします。

 

Q8 顔の見える農と食文化の醸成には、生産現場の見学や、農業生産者の話を聞いたり、交流する授業は不可欠です。このような取組は行われているでしょうか。 教育長にお尋ねします。

 

Q9 学校給食を持続させるためには、栄養士が果たす役割は大きく重要です。市の正規職員として採用し続けることを求めます。市長の考えをお聞きします。

 

子どもたちが健やかに学び育ってゆくために、学校給食費の無償化は必須です。全国1740自治体のうち、76自治体が小中学校給食費を無償化しています。

 

10 小中学校給食費無償化が難しければ、中学校給食費を無償にすることを検討していただきたい。市長の見解をお聞きします。

 

ウ 持続可能な地産地消農業を維持するためにできること

 

11 木更津市や今治市は条例を制定して、食の安全や環境に優しい農業、オーガニック給食を推進しています。本市においても条例制定を検討すべきだと思います。市長の見解をお聞きします。

 

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市長 河村孝さん

質問の1、本市における有機農産物生産の現状と課題について、質問の3、市内における有機農産物生産推進の課題についてでございます。
 市内では、有機農業と言われる農法で農産物を栽培している農家は2軒程度あると把握していますが、有機農産物等と表示ができる有機JAS認証を取得している市内農家は確認できていません。しかし、東京都は独自の制度として、東京都エコ農産物認証制度を運用しています。これは土づくりの技術や化学合成農薬と化学肥料削減の技術を導入して作られる農産物を認証するもので、都の一般的な農業における化学合成農薬と化学肥料の使用基準からの削減割合が25%以上、50%以上、不使用の場合の3区分がございます。三鷹市では、この制度で認証された農産物を生産する農家は、令和4年1月1日で7戸でございます。このような有機農業による農産物は大変有意義であるとも感じられますが、生産者側から見ると、一般的な農業に比べまして高く販売できるというメリットもありますけれども、その一方で、栽培に手間がかかり、労力が増える、育成が遅く小さい、収穫量が少ない、病害虫への抵抗力が弱いなど、栽培に関する課題とともに、有機JAS認証を取得する場合の手続や経費の課題など、デメリットの課題も多々あると認識しております。
 また、市内農業者の農業経営上の大きな課題の1つとして、実はなかなか表には出てきていませんけれども、定期的な休日の取得など、農業従事時間の削減が挙げられていることがございます。要するに、農業者の働き方改革だと思います。市内における有機農産物生産推進のためには、デメリットを上回るメリットを得られるかが重要であるというふうに認識しているところでございます。
 質問の4として、TPPの影響についてございました。TPP、いわゆる環太平洋パートナーシップ協定の影響についてでございます。全国的に見ると、TPPによって関税が削減、撤廃されまして、輸入された安い海外農産物が国内に入ってくるということでございますので、農家は販売価格を下げざるを得ないということから、所得が減る可能性がございます。そういった意味で、農家への影響は少なからずあるというふうに認識しております。
 また、かつてJA東京むさしの青壮年部が市民の方にPRしていたところによると、やっぱり輸入している現場の前に輸入した農産物の倉庫があって、そこにかなり大量の腐敗しないような、そういう薬剤が入れられている形で農産物が保存されていると。そういう状況を市民の皆さんにPRするツアーなどをしておりましたから、そういった実態からも、必ずしもいいものではないというふうに思っております。市におきましては、市内産野菜の多くは、庭先直売所などで、新鮮で安全な農産物を求める市民の方が購入していることが多々あります。市内農業への直接的な影響は想定しておりませんが、引き続き市内の都市農地の保全と都市農業の振興を図り、地産地消を推進していくことが、三鷹市の農業政策としては、重要であるというふうに考えているところでございます。
 質問の9、正規職員の栄養士の採用について。これは三鷹市は現在のところ、自校方式で学校給食を堅持することとして、各校に正規の職員の栄養士を配置しております。これは現在、給食を含めて三鷹の農業を改革していこうということで勉強会を開いていますが、農家の方と同時に、この栄養士の方などにも参加していただいている実績がございます。恐らく現場に近いところで様々なメニューを考えたり、農産物をどういうふうに活用するかということも含めて、現場から変わっていかないと、学校給食の地産地消というのはなかなか難しいと思っていますので、そういう意味での重責を栄養士の皆さんにも担っていただきたいというふうに思っているところでございます。
 最後に私から、質問の11として、条例制定について御指摘がございます。市では、学校給食による市内産農産物使用率30%を目指す方針を、私は市長に就任して以来出しております。当時10%を切っておりましたというか、10%に近づきつつあったというふうに思いますけれども、7%程度であったというふうに聞いています。その数値が、現在は使用率30%にほぼ近づきつつあるということを聞いております。地産地消を促進する取組をはじめ、JA東京むさし三鷹地区青壮年部の皆さんにも入っていただいたり、国際基督教大学や東大馬術部の協力を得て、馬ふん堆肥を使用しての農産物の育成、食育事業、さらには三鷹ネットワーク大学に、先ほど申し上げましたように設置しました、市民、農業者、そしてJAなどの農業関係機関によりまして、持続可能な都市農業に向けた研究会を開催しているところであります。そこで現在、循環型農業を検討のテーマとして、調査研究をしております。条例の制定自体は考えておりませんが、引き続き、食の安全、環境に優しい農業を目指してまいります。
 そして、同時にこれが難しいのは、ビジネスとしての農業もきちんと成立するような構図でなければ、なかなか御指摘のようなオーガニックでの農業の展開というのは、望ましいことのように見えますけれども、生産者にとっても消費者にとってもなかなか難しい展開にならざるを得ないというふうに思っていますので、両者の総合的なプラスをしっかり目指して、私どもとしては研究をしていきたいというふうに思っています。

教育長(貝ノ瀬滋さん)  

では、私のほうから、オーガニック野菜、有機農産物の活用についてというお尋ねでございますので、まず、学校給食における有機農産物の現状と課題ですが、有機農産物につきましては、学校給食用食材納入業者の中で取扱いをしている業者はございます。学校給食で使用することも可能にはもちろんなっております。ただし課題といたしまして、学校給食を賄える量の継続した確保とか、一般の農産物より高価であるということですね。給食費は限られておりますので、そんなことで十分使えるという状況ではないということで、課題として挙げられます。
 また、学校給食におけるオーガニック食材の活用状況ですけれども、オーガニック食材は、環境への負荷をできる限り少なくする方法で生産されて、御指摘のように、人にも環境にも優しい食材であるというふうに私どもも認識しています。そこで各学校の栄養士さんは、量の確保、そして金額が見合えば調達するということにしておりますけど、学校給食を賄える量の確保が難しい。それから、一般の農産物より、先ほど申し上げましたけど高価であるということなどから、利用頻度が高くないという、そういう現状がございます。
 次に、学校給食における市内産野菜の利用率ですけれども、市長のほうでも答弁がありましたけれども、令和3年度は17%、対前年度比で1.7%の増となっております。しかし、令和4年度の1学期は、直近でいいますと24%ということで、徐々に30%に近づきつつあるという現状でございます。内訳ですが、有機農産物の割合については、統計的な把握は今行っていないということでございます。

企画部長・調整担当部長(石坂和也さん)  

それでは、私からは市長の答弁に補足いたしまして、まず、質問の5点目、姉妹・友好都市と連携した三鷹ブランド米の生産活動についてお答えいたします。
 矢吹町とは、毎年姉妹市町交流事業といたしまして、米づくり体験会を実施し、三鷹市の小学生が矢吹町を訪れ、田植、稲刈りを体験できる事業を行っているところでございます。また、三鷹市で開催しているイベントで、矢吹町の方が農産物の出店や物販を行うなど、農を通じた交流を積極的に図っているところでございます。
 御質問ありました有機農産物を活用した姉妹・友好都市との連携による三鷹ブランド米につきましては、施策の優先順位等から、現時点では導入を考えていないところでございます。まずは姉妹・友好都市の農業振興や双方の地域活性化を支援する観点から、農と食を通じた連携・協力を着実に推進していきたいと考えているところでございます。
 続きまして、質問の10点目でございます。中学校給食費の無償化の検討についてでございます。学校給食法第11条第2項におきましては、学校給食費は保護者の負担とされており、受益者負担の観点からも、経費負担については適正な運用であると認識をしているところでございます。また、小・中学校の学校給食費の無償化につきましては、年間8億円近い財源が必要といったところでございます。御質問のありました中学校のみに限定した場合におきましても、約2億3,000万円の財源が必要となります。先行き不透明な財政状況にある中で、こうした財源の捻出は非常に困難といったところでございます。先ほどの議員の質問にも、市長お答えしたとおりでございます。現時点においては非常に厳しいものと、そういうふうに認識しているところでございます。

教育委員会事務局教育部長・調整担当部長(伊藤幸寛さん)  

私から、教育長の答弁に補足をさせていただいて1点、8点目の質問ですけれども、顔の見える農と食文化の醸成についてお答えいたします。
 各学校におきましては、農家や農協の方々、また栄養士、調理師等のゲストティーチャーによる授業の機会を設けているところです。特に市内の農業生産者から直接話を聞いたり、学校農園協力農家の御協力の下、ジャガイモや大根などの野菜の種まきから収穫までを体験したり、収穫された野菜の提供を受け、調理実習を行ったりするなど、生産者との交流を通した地産地消でありますとか、安全安心な食文化など、食に関する学習を行っているところでございます。

嶋崎英治さん

 順不同になりますが、逐次再質問させていただきます。
 最初に質問の5で、姉妹・友好都市との連携です。実は私、新庄からお米を取っているんですよ。当初は農薬を使わないで、本ガモと一緒に米を作る──私は同い年なものですから、高齢化してしまってそれは困難になったということで、本ガモを使う農法はやめました。行っていろんなことを学ぶんですが、刈り取りますよね。そこに、農毒薬を使った田んぼなのか、そうでない田んぼなのかというのは一目瞭然なんですよ。農毒薬で作ったやつは切り口から青いのがもう一回出てくる。そうでない、丹野さん使いませんから、もう茶色で地に返っていくわけですね。そしてさらに違うのは、スズメやカラスやいろんな野鳥が落穂を食べに来るんですけれども、丹野さんの田んぼにはいっぱい──丹野さんっていうんですけどね、いっぱいになるんですよ。そして、その周りの水のところには、セリが生えている。こういうことで本当にこのままいくと、嶋崎さん、もう米づくりは断念しなきゃならなくなる。そこで今度、今回こういうことで議会で質問しますよと。それはいいことですね、ぜひお願いしますよということでした。
 生産者米価が下がり続けているんですよ、ここ3年。1万5,000円切ったら、もう農家はやっていけない。そういう意味で、矢吹町や新庄市や戸沢村と連携を取りながら、三鷹の市民の皆さんが、我が町、我が市、我が村のお米を食べてくれると。こういう関係をつくって、農業生産を維持できるように。ブランド米ってどうやったらできるのか私も分からないんですが、三鷹何とか米という、品種別のじゃなくてね、俗称というか、一般通称でもいいと思うんですが、そういうことをつけてもらいながら、親しみを持って食べることができるということで、ぜひ市長、機会があったらそんなことを提案してみたらいいと思うんですが、いかがでしょうか。

市長河村 孝さん

無農薬とか、有機というのは大変健康にもいいと言われていますから、そういう意味で、なるべくそういうふうにしたいというふうに思うところもあるんですけれども、同時に私が先ほど答弁したこと、それから、教育長が答弁したように値段が高い。非常に維持に手間暇かかって、農作業も大変だということがあって、市内の農家の方の大半は、低農薬ならいいけど無農薬は難しいよと大体言われます。都市農業というのは皆さん周りが全部住宅ですので、農薬自体も大変難しい、気を遣いながら低農薬で対応するということと、でも逆に、もしもそれをやらなくて害虫がいっぱい発生したりとか、そういうことになったりした場合には、御近所からもそういうことで、非常に営農環境が難しいという側面もやっぱりあるんですよね。
 そういう意味で、まず大まかに言って、学校給食の場合には、一定の大量な食材が必要になるという関係から、それを御用意するのは、やっぱり低農薬が限度であるというふうに私は聞いています。そういう意味で、現在、三鷹市内で値段が高く売れるし、いいんじゃないかと思われる無農薬の農家というところが広がらない理由というのは、そういうところにあるというふうに認識しているところです。
 あと、姉妹・友好都市の関係でいうと、市内がそういう状況であって、そこを一足飛びに超えて、姉妹・友好都市の農家のほうを支援するという形では、なかなか市としては動きにくいというところがあります。やっぱりやるとすれば順番がありますから、市内の問題を確実にワンステップ上げた上で、次のそういう課題になっていくんだろうなというふうに思います。
 やっぱり農産物は、今は全然あまり話題になりませんけれども、要するに農家の方からも、私、言われたんですけれども、工場と違って、同じ品物がある時間に必ず幾つ生産できるということがなかなか確約できないのが農業であると。自然との戦いの中で生まれてくるという性格がありますから。であるとすれば、市場の価格も上下するんですよ。そうすると、もしも市内のことを優先するということを一定程度考えるとすれば、一定の価格の幅で必ず市は購入しますよ、学校給食のために大量に購入しますよという約束をしていかなければ安心して作れない状況になりますから、やはりそういう意味では、まず価格固定的なものに近くなる。そうすると、それを市外のところまで手を伸ばすのは難しいだろうなというふうに思います。
 そういう意味で、まず市内優先、低農薬でどこまでできるかということを追求していると、農家の方たちの中でも、無農薬で挑戦してみようという方がいるんですよ、できるかなと思って。そうしたら、そんなに農薬使わなくてもできちゃったみたいな話も聞きましたから、そういう形で少しずつ理解を求めていくことが必要だろうというふうに思っています。
 それから、地方の状況も、個人で購入する場合にはそんなに問題にはならないのだと思いますけれどもね、例で出されたように。ただ一般的には、矢吹町との交渉をしたことは一度ありますけれども、矢吹町で単独で三鷹市の学校給食に持ってくるというような話にはならないんですよ、構造的に。なぜかというと、あそこの場合には白河のJAのところに全部一括して納品する関係がありまして、そうすると、JAを通してどういうふうにやるかという交渉になると、やっぱりそれはJAの立場にとっては市場優先になるというふうな形になりますから、なかなかそういう意味で、構造的にやっていくのは難しい。僅かな生産量であれば、お土産的にもちろんそういう環境ができるんですけれども、恒常的に学校給食を媒介しながらやっていく場合には、まだ幾つものハードルがあるというふうに私は考えています。
 ただ、方向性としては、おっしゃることはよく分かります。ヨーロッパにしてもどこにしても、かなりそういう無農薬とか、オーガニックの状況に近づきつつあるというふうに思っていますが、それを将来をにらみながら、一つ一つ丁寧に理解を求めて、仕組みをつくっていくことが大切だというふうに私は思っています。

嶋﨑英治さん

JAしらかわですか、そこに壁があるという。これも越えられない壁ではないと思うんですよね。三鷹市はかくかくしかじか──だから、全ての野菜をやれって言っているわけじゃない。お米は三鷹で生産するということはかなり困難ですよね。だから、矢吹町と連携取りながら。それで、そういう話がJAしらかわの幹部の耳に入っていけば、ああ、なるほどなと。じゃあそこを何とか規制を緩和するというか、できるんじゃないかという検討ということでも人は動いていくと思うんで、市長は行く機会がいろいろある、あるいは、議員や行政の皆さんもこちらに来るということがあるたびに、夢かもしれないけど、語っていただきながら、三鷹の未来の子どもたちを守りたいんだという話をぜひ展開していただきたいと思います。
 それで、一気に無農薬というのは、本当にそれは困難だと思います。ですから、私は低農薬ということも言っているし、私は畑はありませんけど、プランターで5種類ぐらいのトウガラシを作ったりしているんですよ。今年は天敵のカメムシがほとんどいなかった。例年、毎朝100匹くらい手で取って駆除するんです。今年はそういう意味では害虫で──害虫とあえて言いますけれどもネキリムシ、根っこを切っちゃってトウガラシが倒れ、しなびていると。こういう状態もありますから、100%無農薬というのは困難でも、しかし低農薬から徐々に進化していくことは可能なんで、私も一気にやれということではないんで、そこは御理解をいただきたいと思います。
 やっぱり量の確保という、学校給食に使いたい、いろんな意味で使いたい。それから、保護者の皆さん、子どもたちも、そういうものがどうして作られるのかということからいくと、食べたいな、使いたいなと思うんですけど、量の問題というのは現時点では大変大きな課題ですから、しかし、これも全国の農業生産者がそういう方向に向かっていくことによって、広域的な提携ということも含めて可能になっていくんじゃないかというふうに思いますので、諦めずに追求をしていっていただきたいというふうに思います。
 それで、給食費の問題です。私はすぐやってくれと言っているんじゃないです。検討してくださいと。答弁があったように、中学だけでやると2億3,000万円ほどですかね。先ほど市長が、有機・無農薬野菜でいくと高価になると。財源にもいろいろ限界もあるということだけど、高いか安いかは、目の前のことだけじゃなくてもっと長い目で──先ほど言ったように、日本人のほとんどがネオニコチノイドが出ちゃうという報告もあるんですよ。だから長い目で見たときに、子どもの命、未来の土、未来の緑、環境を守っていくということに立脚すれば、単なる金額の高いか低いかだけではない、もっと大切なものの価値観を見いだしていくのではないかと思うんです。確かに高くなると思いますよ。でもそこで、市長、諦めてもらいたくないんですよ。どうですか、市長。単に現在のものに比べてお金がたくさんかかるかかからないかだけじゃなくて、未来を見通したときにそういうことが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

市長河村 孝さん

私は諦めるとは一言も言ってないんですが、ただ、すぐにはできないですよ。全部が一遍にということはちょっと難しい課題がたくさんありますねということを申し上げていて、少しずつ前進していくことが大切ではないかというふうに思っています。
 要するに今、農業の問題というのは、かなり農家の方たちの御努力で担っていただいているんですけれども、お話の例で出されたように、プランターはどのぐらい大きいものか知りませんけれども、そのプランター1つにカメムシ100匹とかね、それを除去するわけですよ。だから、量的な問題を解消しなければいけない、そういう学校給食の農地の最前線では、100匹の何千倍か何万倍か知りませんけど、それを駆除するのをどうするかという現実と常に向かい合っている農家の方がいて、やっぱりそこの大変さを農家の方だけに担っていただくんじゃなくて、それを市としてどういうふうに考えるのかということは、考えていかなければいけない。そこのところのジレンマがあって、そうすると財政的な問題も、そういう労働条件の問題もいろいろ考えながら対応していくということをやっていくとすれば、1つずつ解決していくしかないというふうに思っているところでございます。
 そういう意味で、長い目で見るべき視点というのは私も同じようにありますけれども、夢を抱きつつ、でも夢で終わらないようにしなければいけないので、そこをしっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。よろしくお願いします。

嶋崎英治さん

 全国の自治体で、自治体を挙げてそういうふうに取り組んで、先ほど2つの例を紹介しましたけれども、条例でそういうものが進んでいるというところもありますから、ぜひ三鷹においても、そういったことを引き続き追求をしていっていただきたいと、こういうふうに思います。
 それから、学校教育、なるほどなと思って答弁を聞きました。孫が、おじいと言ってね、自分でいろいろ取ってきたり、種まいて作ったものを持ってきてくれるんですよ。本当にうれしいですね。私も、種まいて芽が出て実るということのすばらしさね、生きるという力につながってきますから、ぜひそういったことは引き続いてもっと強化しながら、教育長にやっていただきたいと思います。
 最後に、無償化の問題です。私は子どもの頃、ちょうど1954年ですから、そのとき小学校に入ったときに学校給食ありました。200円の給食費でしたね。貧乏家でしたから、何人か残されて、終わった後、給食袋を渡されるんですけど、それを次の日、200円入れて学校へ持っていくことができない我が家の貧乏状態でした。それでいろんな低所得のところに対する援助で何かやるというのもいいんだけど、子どもにとってみれば、やっぱり気がついたときに引け目みたいなことを感じるということがあるんですよね。ですから、誰も全ての子、だから、中学生から無償化の検討、これに入っていってほしいと思うんです。すぐやれということじゃないんですよ、本当に。できるはずです。
 さきの質問者も言っていましたけど、何を市政の中心にしていくのか。このことだと思うんです。命ですよ、子どもの未来、命。このことに市の税を投入して、拳を振り上げて怒る人は、私、いないと思うんですが、市長の考えをもう一度お伺いしたいと思います。

市長河村 孝さん

何度も言いますが、おっしゃりたいことはよく分かります。怒る人はいないって、怒る人はいるんです。ですから、それは様々なんですよ、いろんな市民の方がいらっしゃるから。それは社会の多様性であり、皆さんたちがここにいらっしゃる理由だというふうに思っていますから、それぞれの利害を直接に訴えていただくのは、私にとって大変理解を進める上で大事なことだと思っていますから、それは言っていただいて全く同感ですが、言っていることに反対する人はいないということはないです。たくさんいるというふうには思わないですけどね、同じように。でも、反対する人がいるから駄目だとかということも思わないです。ですから、それぞれの意見があって、その中でやっぱりバランスを考えながら市政としては運営しなければいけないので、そういう意味で、中学生がいいのか、2人目の子どもがいいのか、3人目がいいのかとかそういうことも、先ほどの御質問の議員さんのお話を聞いて、ああ、そういう方法もあるんだなということも含めて、必ず検討いたします。
 ただ、何度も申し上げますが、それを義務教育の無償化の論理で進めていくのか、そうではなくて、学校給食法の関係の中から考えていくのか。あるいは、緊急事態として考えるのか、常時やっていくべき子どもの問題、少子化の問題として考えるべきなのかとか、そういう様々な視点がありますから、しっかりと議論しながら、皆さんのほうにまた御提示する機会があれば、御提示していきたいというふうに思っているところでございます。

嶋崎英治さん

 

丁寧な答弁ありがとうございました。私も希望を持って、今日提起したことについて、諦めずにいきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。