2024.2.12(月祝)
【第3回・三鷹の水って大丈夫なの?PFAS(有機フッ素化合物)学習会】
安全な水を求める市民の会・三鷹
三鷹市市民協働センターで、諸永裕司さんの講演会が行われました。
諸永裕司さんは、1993〜2023年まで30年間朝日新聞記者、独立後もPFASの取材を続けていらっしゃいます。
会場には約80名ほどが来場され、大盛況でした。
今ではこれだけ多くの方が来場されるほど注目を集めるようになってきた有機フッ素化合物・PFAS。
そもそもこの多摩地域のPFAS汚染を最初に報道したのが、2020年1月6日の朝日新聞でした。
その記事を書いたのが、今回講演をしていただいた諸永さんです。
今回の講演会では「PFASとは何か?」という基本的なところから、2024年1月の食品安全委員会PFASワーキンググループ(内閣府)、2月の水質基準逐次改正検討会(厚生労働省)の動きまで、包括的なお話がありました。
諸永さんのお話の内容のラインナップは下記の通りです。
1、有機フッ素化合物
2、汚染の摂取経路
3、体内汚染
4、汚染地図
5、基地汚染
6、三つの課題
7、PFASの未来
「7、PFASの未来」では、PFAS問題に関しては、「被害がない」という「空白(無責任)のループ」になってしまっており、それが問題解決に至らない状況である、そのループを解消するために「被害の見える化」が必要(なぜなら規制は被害のあとにくるため)であり、それは「メディアの責任だと思っている」というお話がありました。
空白(無責任)のループ
・・・➡対策なし➡健康への影響?➡基準なし➡調査なし➡被害なし➡対策なし➡健康への影響?➡・・・
同時に、「汚染源がない」となってしまっている状況も問題解決に至らない要因のひとつだとのお話がありました。
地下水汚染の発覚➡土壌調査を行わない➡汚染源が特定されない
その結果、汚染が除去されないという結果に陥っており、これは、「汚染者負担」原則(1972年経済協力開発機構OECD)の形骸化であり、土壌汚染対策法の欠陥でもある、とのお話でした。
最後に、2024年PFAS汚染対策の分水嶺は、
①血液検査 「被害」の発見・データの蓄積
②汚染源調査 汚染の除去・費用の賠償
③土壌調査 汚染の除去
④農作物・乳製品(地産地消・学校給食) 安全調査・生産者への対処
⑤廃棄物の管理(活性炭、下水処理)※現在規制なしcf岡山のケース(使用済み土壌からの水汚染)
というお話がありました。
***
世界各国ではPFASに対する規制が強まってきています。
米国では25の州で規制が始まっています。
ヨーロッパでは、“予防原則”にたった規制が始まっており、日本は世界の潮流から完全に逆行しています。
「健康より経済」という日本の立場。もちろんこれはPFASだけに限ったことではないですが、この考え方はなんとかならないものか、と思います。
東京都は「現在、飲み水は国が定める目標値(50ng)より下がっているので大丈夫」としています。
ですが、PFASは1950年代から企業や米軍基地、自衛隊基地などで使用されてきたため、私たちはいったいいつ頃からこのPFASに汚染された水や食品を体内に入れていたのかはわかりません。
東京都はそう言っても、それはあくまで「現在は」という事。
過去にどれだけ私たちの体内にPFASを含んだ物質を取り入れたか。
それを知るために、だからこそ、一刻も早く国や行政は血液検査をしなければいけないのです。
私たち多摩地域に住む住民が利用する、水道水。
その水道水の最終責任は東京都です。
本来ならば、国や東京都が率先して血液検査を行うべきであるにも関わらず、動きが遅くて話にならない。
これもこのPFASの問題だけではなく、全てに対して対応が遅すぎるどころか、何もやろうとしないのが、この国の体質なのでしょうか。
そして、横田基地の汚染。
米軍側は「基地外には流出していない」と公表していますが、そんなものは全く信用できません。
「流出していない」と公表するならば、それを証明するために立ち入り調査をさせればよいのではないでしょうか。
「米軍以外の企業も調べるべき」という意見は、それは当然です。
それと同時に、というより真っ先に横田基地の立ち入り調査を行うべきだと考えます。
PFASの問題を考える上で、米軍基地問題を外すことはできません。
2015年、当時の岸田外務大臣が、米国と「環境補足協定」を結びました。
この協定には「基地内の立ち入り調査が出来る」と謳われていました。
ですが、この協定には抜け道がありました。「現在進行形で問題が起きている場合」「米軍側が自ら通報した場合」という条件がついていたのです。
こんな抜け道があるならば、こんな協定になんの意味があるのでしょうか?
世界的にPFASに対しての規制が強まっている現在。
日本では「健康より経済」。
日本の“暫定目標値”はいまだ50ngのまま。
米国環境保護庁(EPA)では今年、現在の70ngから、PFOA4ng.PFOS4ng、に“規制値”を変更する動きも出ています。
米国大統領選挙も絡み今年は、PFASに大事な1年になる、とおっしゃる諸永さん。
現在、食品安全委員会(内閣府)では、PFASのパブリックコメントを3月7日まで募集しています。
是非とも、パブリックコメントにアクセスしてください。
https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.html
「汚した水を飲ませた責任は行政。行政が責任を持ち血液検査を」
諸永さんはそう仰っていました。それは当然です。
諸永さんが指摘された空白(無責任)のループ。国は、「被害がない」と言っています。それは、調査をしないから。調査をしない、「被害がない」ため「対策しない」という丸投げ政府です。
こんな国にしたのは私たち国民のせいでもありますが、そんな政府を動かすのも、私たち国民です。
行政に訴えること、そして関心を持つこと。
これが、私たち国民に出来ることです。
諸永さんの講演会、とても学びになりました。
まだまだPFASの問題を追い続けている諸永さん。
是非とも皆さん、もしお近くで講演がありましたら、参加してみてください。
私たち国民にやれること、学ぶことはまだまだあります。
※ 石井れい子三鷹市議会議員から、「安全な水を求める市民の会・三鷹」まとめの三鷹市の水の現況報告がありました。当日配布資料として掲載しますので、ぜひご覧ください。
諸永裕司
連載「PFASウォッチ」
https://slownews.com/m/mf238c15a2f9e
自治市民21
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