三鷹市議会レポ 嶋﨑英治(しまざき えいじ)の市政に関する一般質問 その2
特別定額給付金を自治体が配ることの問題点について
(質問者の主張)
2020年、一律一人10万円が給付された「特別定額給付金」について、自治体は事実上実施しないという選択肢がないにもかかわらず、法律に定めのない「自治事務」として行われたこの事業について地方自治並びに分権改革の観点から質問をする。
地方公共団体の事務は、すべてにわたって自治事務と法定受託事務に分けられます。「特定定額給付金」事務は、自治事務でも法定受託事務でありません。
Q1 「特別定額給付金」を自治体が配る根拠は何であるか、市長の見解を伺います。
Q2 「特別定額給付金」は、国が企画した事業であり。導入に至るまでの過程は、徹頭徹尾、国のみで完結しており地方公共団体、つまり自治体の意向が反映されることは全くなかったと思います。市長の見解を伺います。
Q3 2020年4月20日の閣議決定ににより、「特別定額給付金」の給付は決定されたが、法令上の根拠のない「自治事務」として、同日付で発出された総務大臣通知「特別定額給付金(仮称)事業の実施ついて」により市区町村は実施を余儀なくされたいわば強制的自治事務だと思います。市長の見解を伺います。
地方分権の原則に立ち返って「特別定額給付金」事業を検証してみる必要があると思います。自治体が半強制的に実施させられる「自治事務」の不当性について、分権改革の過程やその成果において示された諸原則から質したいと思います。
Q4 分権委員会の中間報告は「法律に定めのない自治事務の実施は、地方公共団体の随意である」、と明言し、「非法定自治事務の随意性」の原則を定めています。しかし、自治体にとって給付事務は、実際上実施せざるを得ない、法律に定めのない不随意な「自治事務」であったのではないでしょうか、市長の見解を伺います。
Q5 分権委員会の最終報告では、分権改革が「地方公共団体による自己決定・自己責任の自由の領域を拡大する」ことを目指したと述べています。では、「特別定額給付金」はどうか。それは国にとっては「自己決定・他者責任の自由」であり、自治体にとっては、「他者決定・自己責任の強制」になっていたと認識します。市長の見解を伺います。
Q6 分権委員会の中間報告には、「国と地方公共団体は関係を現行の上下・主従の関係から新しい対等・協力関係へと改めなければならない」と謳っています。「特別定額給付金制度」を創設した2020年4月20日総務大臣通知には、「地方公共団体のご協力が必要です。とありますが、あくまで国がカネと補助要綱を握っておいて、その事業の実施に間接的に「強制」している以上、そこに「対等・協力」の関係など全くないと思います。市長の見解を伺います。
Q7 地方分権の理念の結晶でもある地方自治法第1条の2第2項は国は「地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない」と定めています。これに「特別定額給付金」事業を照らし合わせてみると、自治事務としながらも国から押し付けられた強制的自治事務であり、法がいうところの「自主的」な実施とも「自主性」発揮とも言えないのではないかと思います。市長の見解を伺います。
【関係資料】
①地方分権推進委員会中間報告・第1章 総論―地方分権推進の趣意(1996/03/29全8頁)からP4~5)
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8313852/www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/middle/01.html
②「「特別定額給付金(仮称)事業の実施にについて」総務大臣(2020/04/20)https://www.nichigi.or.jp/site_data/nichigi/files/teigakukyuufu.pdf