2019年3月26日三鷹市議会本会議
提出者 甲斐正康
三鷹市議会から東京都に対し水道事業民営化の参議院付帯決議に基づいた適切な対応を求める請願
嶋﨑英治の賛成討論
(要旨)
2018年12月4日、参議院は、水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議をしました。
「附帯決議」の中には、には次のことが謳われています。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
1、水道の基盤強化に当たっては、水道が極めて公共性の高い、国民の日常生活や命にも直結する貴重な財産であることを踏まえ、全ての国民が水道の恩恵と安心・安全な水の供給を将来にわたって享受できるよう、国、地方公共団体及び水道事業者等の相互の連携を深めること。
2、将来にわたって国民生活の安心と安全を確保するとともに、大規模災害の発生等にも備えるため、管路の老朽化への対応及び耐震化の推進等、水道施設の継続的な更新と整備に万全を期すとともに、地方公共団体において施設整備の体制を支える人員及び予算が十分に確保されるよう努めること。また、災害時における速やかな応急給水・応急復旧を図るための組織体制、災害対応システム等が十分に整備・運用されるよう、必要な措置を講ずること。
5、水道施設運営権の設定については、水及び水道施設が国民共有の貴重な財産であること、また、重要な生活インフラである水道事業に外国資本が参入する可能性や、将来的に料金が高騰したりサービス品質が低下したりする可能性に留意し、その決定は厳に地方公共団体が住民の意思を十分に踏まえた上での自主的な判断に委ねられるべきであることを大前提に、公正かつ公平な手続や透明性を十分に確保した民間事業者の選定を含め、公共性及び持続性に十分留意したものとなるよう、地方公共団体において検討すべき事項の具体的な指針を本法施行までに明示すること。
本請願は、この附帯決議に基づいて国、都道府県、市町村の役割及び費用分担を協議することを求めており、その結果を踏まえて、民営化の是非を検討することとしています。
水道事業民営化問題は、2013年、麻生太郎財務大臣がアメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)で、全ての水道事業は民営化すると講演したが、外資の参入を企図するものでした。そのことにより、民営化は一気に加速化しました。
アベ内閣が推進する「水道事業民営化」は、「水という人権」を蹂躙し、いのちに欠くことができない水を危険にさらすものといわざるを得ません。水道事業を公営実施していれば、株主利益は発生しませんが、民営化されれば、株主利益を乗せたコストが水道料金として上乗せされ、国民の健康で文化的な暮らしは破綻をきたします。「水道事業」という人間にとって最も欠くことのできないライフラインを合理性や採算性などという市場原理にさらしてはなりません。
世界の潮流は「再公営化」に踏み出す事例が増えています。国際公務労連(PSIRU)の調査によれば、2003年の時点で水道及び下水道事業を再公営化した自治体は3件でしたが、2014年の時点では35カ国の少なくとも180の自治体が再公営化に方針転換しているとのことです。地域も、欧米からアジア、アフリカと世界中で行われており、180カ国のうち、高所得国が136、低所得国が44と先進国・途上国問わずに再公営化が実施されています。なぜそのような事態になっているのでしょうか、その理由の多くは、民間の水道事業者が約束を守らず、利益ばかりを追いかけ、ローカルな人々のニーズを無視したことが主因です。
もとより、水はいのちとって欠くことのできないものです。多国籍企業に水源を売り渡してはなりません。
以上を述べて、本請願に賛成します。
採決結果 賛成全員(26) 可決・採択