生態系への影響が指摘されているネオニコチノイド系農薬の規制を求める意見書
【提出者:嶋﨑英治議員】
ネオニコチノイド系農薬は、有機リン系農薬にかわって使用されるようになり使用量は増加傾向である。ネオニコチノイド系農薬は今までの農薬と3点において大きく性質が異なる。
1つは「神経毒性」で、昆虫の中枢神経にある主要な神経伝達物質の働きを阻害し、死に至らしめる。
2つ目は「浸透性」で農作物の内部に浸透して植物のあらゆる組織で殺虫効果を発揮するので、洗っても残留農薬を減らせない。
3つ目は「残効性」で、散布回数を減らせ、「減農薬栽培」に広く用いられているが、毒性が持続していることにほかならない。
世界各地で報告されるミツバチの大量死・大量失踪、さらには「蜂群崩壊症候群(CCD)」、我が国でも2000年代から被害が報告され始め、農水省の調査(2009 年)では21都道府県で花粉交配のためのミツバチの不足が報告されている。養蜂家のみならず、ミツバチに受粉を頼っている果樹農家などの被害が拡大しつつある。本市においても、ミツバチが不足し、養蜂・蜂蜜生産に影響が出ている。
日本弁護士連合会は、2017年12月21日、「新規ネオニコチノイド系農薬について、製造・輸入及び販売するための農林水産大臣の登録を、予防原則に基づき保留するべきである」ことなどを趣旨とする「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」を政府に提出し、チアクロプリド等ネオニコチノイド系農薬について、劇物指定農薬であるなどの懸念があり、早急に調査研究の実施及び健康影響評価の確立が求められるとともに、安全性が証明されるまでは安易な使用は厳に慎むことを求めている。
2018年2月、欧州食品安全機関ではネオニコチノイド系農薬のミツバチのリスクについての確実性を再評価した。それを受けて4月欧州委員会ではネオニコチノイド系農薬の主要3種類(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の屋外使用全面禁止を決めている。他国においても期間限定での禁止、包括的な禁止、規制強化、新規登録の凍結等、さまざまな動きが出ている。
「ヒト」の脳への影響も懸念される研究発表があり、ネオニコチノイド系農薬は、養蜂家の管理する家畜としてのミツバチに限らず、自然界に存在する蜂、蜂以外の昆虫、動物、ひいては人体にまで影響を与える危険性がある。
諸外国においては、予防原則の考え方に立って、食品中の残留農薬基準値も極めて厳しく設定されている。しかし、我が国においては、これまでのところ使用規制は一切行われておらず、食品中の残留農薬基準値も米国の数倍、EUの数十倍から数百倍と言われ、極めて緩く設定されているのが現状である。
よって、本市議会は、国会及び政府に対し、下記の事項を強く求める。
記
1 フランスなどヨーロッパ等でのネオニコチノイド系農薬の屋外使用全面禁止の動向を踏まえ、予防原則にのっとって、使用規制に取り組むこと。
2 ネオニコチノイド系農薬の食品への残留農薬基準を見直し、規制を強化すること。
上記、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
★採決結:賛成全(25)……可決
2018年12月21日
自治市民21
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