2023.9.12()2024年問題によるトラックドライバーのさらなる処遇改善のため、貨物自動車限定の高速道路料金負担の見直しを求める意見書のの提出を求めることについて」請願趣旨説明

 

2023.9.12()まちづくり環境委員会  
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請願第2 請願趣旨説明 

 

以下、趣旨説明全文

 

皆さん、本日の朝ごはんは何を食べたでしょうか?お昼ごはんは何を食べたでしょうか?
昨日の晩ごはんは、昨日のお昼ごはんは。
そしていま、皆さまが着ている洋服、手を置いている机。指に持っている、ボールペン。
いきなりこのような発言、大変失礼だとは思いますが、敢えて言わせていただきました。
なぜ、このような発言をしたのかといいますと、私も含め、現在私たち日本人が生活する上で、全ての生活用品、全ての食糧品、その他全ての物が少なくとも一度は必ずトラックの荷台に収まり、日本全国全ての消費者に届けられているのです。
現在、2024年問題でメディアなどで報道される多くは、消費者が日々、直に接する宅配便の配達員の問題が報道されております。
ゆえに2024年問題と聞くと真っ先に玄関前に立つ配達員を思い浮かべる方が多いかもしれません。
ですが、実は個人宅宅配は日本の総輸送量のわずか7%以下と言われております。
残りの90数%は企業間輸送と言われております。
企業間輸送と聞かれて何を想像しますでしょうか。
皆さま方が道路を見渡す時に目にする、もしくはハンドルを握り目にする大型、中型トラック。
その多くのトラックが企業間輸送のトラックなのです。
生産工場物流センター。
物流センタースーパーやコンビニ。
海外から運ばれてきた部品などを積んだコンテナ部品製造工場建築現場。
肥料生産農家畜産農家スーパー。
などなど、普段消費者の目には届かずとも、非常に重要な輸送網、それが企業間輸送なのであります。
日本のシンクタンク、野村総合研究所が今年の一月「何もしなければ2030年には2015年比で約35%の荷物が運べなくなる懸念がある」という試算を発表してようやくメディアがこの2024年問題を報じ始めました。
この2024年問題は、決して「宅配便の荷物が家に届かなくなる」という問題ではなく、スーパーから野菜が消え、お米が消える。
決して「レトルトカレーが自宅に届かなくなる問題」ではなく、「その注文したレトルトカレーが作れなくなる問題」なのであります。
カレー製造工場に野菜や肉を運ぶのも、ひいてはその牛を育てる肥料を運ぶのも、企業間輸送のトラックドライバーなのです。
1990
年に物流二法の法改正、規制緩和が施行されました。
今までトラック事業への参入が免許制でありましたが、認可性に変更になりました。
許可制に変更になるということは、需給調整による経済的規制を原則廃止し、事業運営や安全管理の能力があれば参入を認めるということです。
事業者保護から競争促進への政策転換を意味します。
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台ほど、という最低車両台数の制限は残ったものの、トラックの需給バランスをなるべく市場原理に委ねるという判断をしました。
狙い通り、参入企業は増えました。
90年度の参入事業者数が617だったのに対し、94~2007年度は2000程度に増えており、その後も1000を超える年度が多く、退出も徐々に増え、08年度に2000を超えて参入を上回ると、その後は参入・退出がおおむね 拮抗。市場の新陳代謝を促す一定の効果はあったと言えるが、事業者数は近年、緩和前の1・5倍に相当する6万3000社にまで急増しました。
運賃についても、認可制から届け出制に緩和され、運賃の設定・改定が容易になりました。
規制緩和から10年あまりを経て、国土交通省が検証した評価書(2003年)は、規制緩和により、競争が促進されて運賃水準が下がり、サービスへの荷主の満足度も高まって、利用者の利便増進が図られたと指摘。
さらに、弾力的な運賃・料金設定が可能になったことで、メール便などの新サービスが増え、サービスの多様化を促したこともプラス材料に挙げましたが、その一方で、競争が進展する中で、劣悪な労働条件を強いる悪質業者も散見され、一部業者による不公平な競争が運賃・料金水準を下落させたとの指摘もあるとして、競争促進がもたらしたマイナス面も挙げている、という報告もあります。
トラック運転手は全産業の平均に比べ、労働時間は2割長く、賃金は1~2割低いとされます。
トラックドライバーの給料体系の多くは歩合制であります。
働き方改革によって労働時間が減れば、さらに給料も減ることになります。
トラックドライバーの高齢化の問題もあります。
現在、日本の物流のど真ん中で支えている平均年齢は50代、とも言われております。
私は現在、45歳ですが、まだまだこの業界では若手の部類になります。
その昔、運送業とは、「3年走れば家が立つ」と言われた業界だったそうです。
ですが、先ほど述べました物流二法の法改正の規制緩和の影響により、事業者は増加し、同業者同士で荷物の奪い合いがおきました。
業種上、運送業界において、他社との差別化の手段は「運賃の値下げ」かドライバーによる付帯作業くらいしかない。
この付帯作業とは、ドライバーによる荷物のフォークリフトによる積み込み、これならまだいい方で、手積み手下し、物流センターでのラベル貼りや検品、仕分け、棚卸し、さらにはスーパーで商品の陳列までさせられるケースもあります。
実際、私も何度もこのような付帯作業を行った経験はあります。
これも先ほど述べた通り、トラックドライバーの平均年齢は約50歳。
全産業の平均年齢よりも高い。
有効求人倍率は、2.4倍と全職業平均より2倍近く高くなっております。
もともと過酷な労働環境。
稼げたから入ってきた人材も、「過酷な上に稼げない」となれば若手が入ってくるわけがありません。
それに加え、準中型や中型、大型の免許の取得のしにくさ、などなど免許制度の複雑さでますます若手が入りにくい環境となり、団塊の世代が抜け、現場の高齢化は年々深刻化しているのです。
そこでこの働き方改革です。規制緩和から30年。
日本のおもてなし文化も手伝い、荷主至上主義も重なり、運送事業者やドライバーたちは過剰サービスの実質的強要に苦しめられているのです。
それが、この2024年問題の本質なのであります。
自動車運転業務の年間の時間外労働時間上限が1,176時間から、202441日以降は960時間になる、この働き方改革。
政府は政策パッケージと称したいくつかの政策をとりまとめました。
2019
年から5年もの猶予があったのにもかかわらず、今になり慌てて発表したように現場サイドからは映りました。
実際に出されたパッケージには、具体的な案が示されていたとは到底思えませんでした。
なかでも私たちドライバーサイドから大きな落胆の声が聞かれたのは、高速道路における大型トラックの最高速度を現行の時速80㌔から引き上げるとした案でした。
労働時間が減って運べる荷物が減るのなら、トラックの制限速度を上げれば良い、という安易な考えに現場は心から落胆しました。
実際に私の友人は、「世間も国も、結局自分たちの生活のことしか考えていない。働き方改革、といっても結局荷物。こんなんだから、政治は信用出来ないんだ」と口にしている友人もいました。
働き方改革が施行され、ドライバーの労働時間が短くなっても、今までと同等の給料を支払うには運送事業者は荷主に運賃を上げてもらうしかないが、長時間労働の是正についてはいくらでも話が進むのに、なぜか運賃の値上げ、給料の保証においては議論が全く進まないのが現状であります。
本来ならば、働き方改革とは労働者の労働環境を改善するための改革だったはず。
とりわけ睡眠不足が常態化し、トラックドライバーとは常に命の危険が背中合わせの職業。
それは知ってこの業界に入ってきたが、あまりの長時間労働・低賃金に現場は悲鳴を上げている。
そして働き方改革。
改革で生じる空き時間は本来ならば、体を休めるための時間にすべきなのが、結果的に働くための時間に変わり、更に命を削りハンドルを握る。それではもはやこの働き方改革は本末転倒であります。
2024
年問題は「荷物が運べなくなる問題」「荷物が届かなくなる問題」ではなく、「荷主や消費者の無関心や無理解によって物流が崩壊する問題」と口にしているジャーナリストもいらっしゃいます。
そしてなぜ、私が「高速道路無料化」を訴え本請願を提出したかといいますと、現在、輸送の際に使用する高速道路の料金は、基本的には運送会社負担が常識であります。
例えばタクシーの場合ですと、使用する客側が高速道路料金を支払うのが当然。
ですが、運送業の場合は、なぜか運送会社の負担です。
それは、荷主至上主義のこの業界だから運送会社は荷主に請求出来ないなのです。
本来、道路は公共財であり、誰もが無料で利用できることが原則であると考えます。
実際に東日本大震災の際に、トラック・バス等を対象にした「当面の復旧・復興支援」という名目で、トラックの高速無料化が実現したこともありました。
その他にも過去に民主党がマニフェストのひとつとして掲げた政策、政権時代の2010年度から翌年度まで実施した社会実験、運営事業者から地方公共団体への譲渡により、無料化されることもあります。
近くですと横浜新道や、八王子バイパスが現在は無料化されております。
高速無料化、といいますと様々な諸問題が生じる可能性があるかもしれませんが、そこは貨物自動車限定であります。
日本中に荷物を運ぶ重要インフラ、日本の経済の血管とも言われております、運送業界。
マスコミなどでも報道される機会の多い深夜の高速道路ETC料金所の大渋滞はこの高速道路料金を少しでも削り、少しでも運賃を手元に残したい運送業界、少しでも手元に給料を残したいドライバーの苦肉の策とも言えるのです。
貨物自動車の高速無料化が実現すれば、最大のドライバーの働き方改革になり、実際に労働時間も減ります。
これこそが本来あるべきはずの働き方改革であると断言します。
高速道路料金から運賃や給料が減ることもなく、トラックドライバーの離職率に少しでも歯止めがかかると思います。
何より、トラックドライバーたち、いや世間の政治に対しての不信感も減ることになると思います。
トラックドライバーたちの命と健康を守り、日本経済の血管をより流通させ、トラックドライバーのやる気も増大させる。
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年間停滞した日本経済の突破口となるよう、そしてこれこそが本当の、真の働き方改革となるよう、是非とも皆さま方、この貨物自動車限定の高速無料化に対する請願に、良いお答えをくださる事を期待いたします。